みなさんは「マインクラフト」というゲームをご存知でしょうか?
マインクラフトは世界中で大人気の「バーチャルものづくりゲーム」です。2014年に買収され、現在はMicrosoftが所有しています。このゲームが今後、人工知能(AI)をトレーニングする場として利用されるといいます。
マインクラフトとはどんなゲームなのか
このゲームでは、広大なバーチャル世界で、ブロックを組み立て、自分の家を作ったり、巨大な建造物を建てたりといった遊びができます。
基本的にはLEGOブロックを使ってなにかを作るということを、バーチャル世界でできるというゲームなのですが、マインクラフトはもっと奥が深いゲームなのです。
例えば、家を建てるために鉄が必要であれば、洞窟を探索して、鉄鉱石を取り、それを鉄に変えるという作業をしなければいけません。むしろ、それを掘るためのツールをまずは作成しなければいけません。ご飯を食べなければ空腹で死んでしまいますし、高いところから落ちたら死んでしまいます。
このゲームを知らないという方は、ぜひ下の公式動画を見てみてください。
このように、ただのゲームとは少し違い、「リアルなバーチャル世界を楽しめる」のがこのゲームの特徴なのです。
マインクラフト上でAIをトレーニングできる「Projext AIX」
今このリアルなバーチャル世界を創りだすマインクラフトが注目されています。
マインクラフトを所有するMicrosoftの研究チームは3月13日、同ゲーム上でAIをテストできる公式プロジェクト「Project AIX」を発表しました。現在では、一部の研究者のみへの公開となっているようですが、2016年の夏頃から一般公開される予定です。

Photo from Microsoft
Project AIXを使えば、低コストで自身が作成したAIのテストをすることができます。
例えば、「入り組んだ洞窟を探索して、宝箱からあるものを探し出す」というタスクをAIに与えるとします。そうすると、AIはマグマに落っこちたり、高いところから落ちたりと試行錯誤を繰り返し、失敗から学びながらタスクを完了させようとします。
実際のプレイ画像がこちらです。AIがタスクに取り組んでいる際、「AIがどのように考え、学習しているのか」というプロセスを小さなウインドウでモニタリングすることができます。

Photo from Microsoft
これまでの人工知能の研究はロボットを使ったテストが主流でした。しかし、このプロジェクトを使ったAI研究で必要なのは、パソコンとマインクラフトのみです。ロボットの開発費用もかかりませんし、ロボットがマグマに落ちてしまう心配もありません。
バーチャル世界でありながら、とてもリアルな世界を創る「マインクラフト」だからこそ可能となったプロジェクトなのです。
先日、人工知能が韓国の囲碁棋士を打ち負かしたというニュースが報じられました。さらに当ブログでも紹介した、AI搭載のヒューマノイドロボット「Atlas」が話題を呼ぶなど、AI関連のニュースも多くなってきています。
<関連記事>
「雨にも負けず、いじめにも負けず。」Boston Dynamicsの人型ロボットが凄い。
Project AIXのような、低コストでAIをテストすることができるプラットフォームが出てくると、今後の開発スピードも大きく加速することでしょう。
<参考記事>
http://www.bbc.com/news/technology-35778288
http://blogs.microsoft.com/next/2016/03/13/project-aix-using-minecraft-build-intelligent-technology/
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木村 拓哉
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