Li-Fi: 世界を変える通信技術

投稿者: | 2016年3月12日

 

バルト海に面する北欧の国、エストニア。人口42万人の首都タリンで、世界を変える技術の実験がされています。

その名も「Li-Fi」

Light-Enabled Wi-Fiと名付けられたその技術は、Wi-Fiの100倍以上の速さで通信が可能だといいます。

この実験で計測された通信速度は毎秒1ギガバイト。約2秒ほどで1本の映画がダウンロードできてしまうくらいの速度です。しかも、研究室での実験では、244ギガバイト/秒の通信速度を記録したと言われています。

しかし、このLi-Fiの革新性は速度ではなく、その通信の仕方にあります。

 

「光の点滅」を利用して通信

Li-Fiの通信方法をお話しする前に、コンピューターの「バイナリデータ」という用語を説明しなければなりません。

「バイナリデータ」とは2進法で表されたデータのことで、このデータは「0」と「1」だけで表されます。コンピュータが扱うデータは、究極を言えばこのバイナリデータだけで構成されています。つまり、コンピュータは「頭の回転はめちゃくちゃ速いけど、0と1しか読めない子」なのです。

例えば、コンピュータに「6」をそのまま見せても理解してくれません。でも、コンピュータに、それは「1 1 0」なんだよと教えてあげると、それを「6」という”数字”と理解してくれるので、後はそれを足したり引いたりといった計算ができるようになります。

 

それともう一つ。小学校の理科の授業で、「光は目に見えないけど、実は点滅してるんだよ」という話を聞いたことはありませんか?可視光線と言われる、いわゆる「光」は目に見えない速度で点滅を繰り返しているのです。そして、この「オン」と「オフ」はそれぞれ、「1」と「0」に関連づけることができます。

そしてこの「コンピューターが読めるのは0と1だけ」ということと、「光は点滅している」という、二つを利用して発明されたのが、「Li-Fi」なのです。

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Li-Fiによる通信では、LEDが「オン オン オフ」と人間が認識できない速さで点滅すれば、光のセンサーがその「オン」と「オフ」を認識し、そのデータが「1 1 0」と変換されます。すると、コンピュータがその光の点滅が表しているのは「6」なのだ、と理解できるというわけなのです。

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インフラも必要ない、傍受不可能な通信。

一旦この「Li-Fi」の技術が商品化されれば、世の中に広まるのはとても簡単です。というのも、電球は既に世界中に140億以上設置されているからです。従来のように、通信インフラを別途整える必要はなく、光というインフラをそのまま利用することができます。

これは、発展途上国のような「光はあるけれど、インターネットが通っていない地域」でも、データ通信が可能になることを意味します。

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電波ではなく、光を使って通信をするLi-Fiだからこそ、その効果を発揮する分野があります。それは、例えば国防機関などのセキュリティが最も重要な分野と、飛行機や病院などです。

「光」は壁を通ることはできないので、壁の外からその通信を傍受することは不可能です。なので、このLi-Fiを使って通信をすることで、その部屋にいるひと以外には、絶対見られないデータ通信をすることができます。

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また、電波を使って通信するわけではないので、干渉が懸念されるために、従来ではWi-Fiを使用できなかった病院や飛行機などでもデータを通信できるようになります。

 

光を使うという性質上、「屋外では使用できない」という弱点はありますが、この図のように他の通信技術との住み分けがされれば、急拡大する可能性を秘めた技術だと、開発チームは考えています。商品化まであと2年から3年と言われ、すぐそこにある未来の技術。すでにAppleが将来のiPhoneで利用できるための準備をしているとも噂されています。

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Photo from pureLiFi

 

TEDトークでは、わずか3ドルの電気スタンドで、高画質の映像データを通信する様子を見せた、開発者のドイツ人物理学者ハラルド・ハース(Harald Haas)氏。既存の電球でもこの技術を使えるという証明です。未来を感じられる、ワクワクするトークになっているので、ぜひ見てみてください。

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<参考>

http://purelifi.com/

http://wired.jp/2015/10/04/streaming-video-lightbulbs/

http://wired.jp/2016/01/08/li-fi/


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木村 拓哉

1991年、愛知県生まれ。カナダを拠点にフリーライター/翻訳家として活動。このブログでは自分の興味関心ごとをマイペースに更新していきます。ベンチャー企業、テクノロジー、WEBサービス、働き方など。自身が運営するWEBマガジン「CanadaLifeMagazine」ではカナダの生活情報を発信中です。詳しいプロフィール

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