先日、「パートタイムで働くってどうなの?」という記事で、オランダが幸福度ランキングで7位にランクインしている、ということを書きました。参考にした記事によると、人口の半数がパートタイムとして働いていて、労働時間が短く、かつ柔軟なために幸福度が高い国であるとのことでした。
オランダより幸福度の高い国、カナダ
さて、それでは僕が住んでいるカナダはどうだったかというと、なんと順位は5位。オランダを上回っています。なぜでしょうか?
オランダの幸福度の高さの理由は、労働の短さにあるという意見がありますが、それはカナダでも同じです。カナダ人は基本的に定時で仕事を終えます。16時50分ごろになると、いそいそと帰宅の準備を始めて、17時きっかりに帰宅するという人がほとんど。
ただ、これについては、幸福度ランキングの上位にランクインする国では、どこも似たような感じ。なのでこの部分を比べてみても、そんなにはっきりとした答えは出てこないんじゃないかなあと思っていました。カナダがここまで幸福度が高い理由は他にあるのか。それについてここ数日考えていたんです。
そんな中、先日Uberを利用する機会がありました。妹がカナダに遊びに来ていて、その送迎のために利用したんです。そしてその車中でのドライバーとの会話から、カナダの幸福度が高い理由についてヒントをもらったのです。
なぜこんなに「カナダ人」は幸福なのか
そのドライバーは恐らく、40代前後の男性でした。ちょっと小太りの感じで、話す言葉の節々から、彼のやさしさがにじみ出てくるような話し方をします。ムスリムの男性でした。
彼は現在ではカナダの国籍を持つ、れっきとした「カナダ人」ですが、もともとはパキスタンで生まれ、20年前に移住してきたのだと言います。移民1世ということですね。
僕がカナダに来た経緯の話などをしているうちに、僕は彼に「What made you move to Canada?(なぜカナダに来たの?)」と聞いてみました。
すると彼は一言、「祖国で暮らしにくくなったから。」だと答えました。
彼の祖国であるパキスタンは、ムスリム国家で、人口の大半がイスラム教の信者です。ムスリム国家としての政府は、他の宗教に対して排他的で、パキスタンは「イスラム教以外の宗教を持つ人々への迫害」という暗い歴史も持ちます。それだけではなく、パキスタンでは同じイスラム教でも、少数派の宗派に対しての差別も行われていると言います。
このドライバーはムスリムですが、彼の宗派はこの少数派に属しているため、パキスタンで暮らしている間、様々な差別を受けてきたそうです。
「同じイスラム教を信じているのに、非国民だと言われる。ひどいときには宗派間で殺し合いをするときもある。ひどい状況だったよ。イスラム教の経典には、どこにも”人を殴れ”とは書いてないのにね。あの頃のパキスタンでは、僕たちの宗派の人々は安心して暮らせなかったんだ。」
そんな状況から逃れるため、彼はカナダへの移住を決意したというわけです。
カナダに移住をしてから20年後、彼は奥さんと2人の娘さんの5人で暮らしています。
「ドライバーとしての稼ぎは少ないけど、少なくとも僕らの娘は学校に行けているし、宗教のことを、とやかく言われることもない。彼女らは英語とパキスタン語の両方を話すんだ。とてものびのびと暮らしていると思うよ。パキスタンにいたら、こんな生活はできなかったかもしれないね。」
多民族・多文化国家のカナダでは、移民がたくさんいます。移民によってできた国だと言っても過言ではないかもしれません。その移民たちの背景は人それぞれですが、彼らに共通するのは、「よりよい暮らしを求めてカナダにやってきた」ということ。
何らかの理由によって、母国に住みにくくなり、結果カナダに移住して、新しい生活を歩んでいるという人が沢山いるんです。その結果、今の暮らしに満足しているという人も多いのではないでしょうか。
この話をしている時、その数日前に書いた「幸福度ランキング」の事を思い出した僕は、彼にこう聞きました。
「Are you happy now?」
すると彼は、
「Yes, absolutely.」
と答えました。
これが、「カナダ人」が幸福な理由の1つなのかもしれません。
[今日のひとこと]
昨日、早めの自分への誕生日としてデジタル一眼を買ってしまいました。(笑)写真は超初心者なので、猛練習したいと思います。SNSで繋がって頂ければ、更新情報が受け取れます!写真の練習の様子も見れるかもしれません(笑)
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木村 拓哉
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