3Dプリンターの存在が世間に広く知られるようになって早数年。
価格も安くなって、3Dプリンターでちょっとした小物を作っているという人も多く見かけるようになりましたよね?
でも、3Dプリンターはもちろん個人の趣味の範囲だけには留まりません。3Dプリンターの革新性は、これまでの”ものづくり”のあり方をガラッとかえてしまいました。
従来、生産工場を持たなければ製造しえなかったものが、この3Dプリンター1つで製作できるようになりました。
しかもつくる製品を変えるたびに、新しい機械を取り入れる必要はありません。iPhoneケースを作っていたものと全く同じ機械で、次は小物入れを作れちゃいます。
また、その設計図をインターネット上に掲載すれば、同じ製品を、世界中どこにいても製作することができるようになりました。
そして今やその革新的な技術は世界中に急速に広まり、「え!?そんなものまで作れるの!?」と驚愕してしまう、3Dプリンターの「未来の活用法」も次々に開発されています。
そこで今回は「3Dプリンターが”プリント”する未来の形」をいくつか紹介してみたいと思います。
ダウンロードできちゃう服
未来では、こんな会話が聞こえてくるかもしれません。
「今週末のパーティに着ていく服を”作らなきゃいけないわ”。」

Photo from http://gigazine.net/
この写真に載っている服はすべて3Dプリンターで作られたもの。
3Dプリンターの製品と言われると、硬いプラスチックで作られた製品を想像する方も多いと思います。
この服もプラスチックでできています。ただし、その素材はとても柔らかく、普通の服のように体にフィットします。風が吹けばもちろん揺れますし、体を動かせばスカートはなびきます。
この技術を可能にしたのが、Filaflexと言われる新素材。丈夫なこの素材は、繊維と同じように柔軟性も持ち合わせています。

Photo from http://gigazine.net/
この素材でできたパーツを組み合わせることによって、これらの服が出来上がるというわけです。
これらの服を制作したのは、このDanit Pelegさん。彼女は服のデザイナーで、出張時に必要になったドレスを、急遽3Dプリンターで作ってしまったと言うんだから驚きです。
TEDのスピーチを載せておくのでぜひ見てみてください。とても興味をそそるお話しです。
肉を”プリントする”
次に紹介するのは、「3Dプリンターでつくられた肉」。
信じられない話ですが、「Modern Meadow」というスタートアップが実際に開発に取り組んでいます。
背景にあるのは、伸び続ける肉の消費量。国連は、2050年には世界人口は96億人に達すると予測しており、そこから算出すると肉の消費量は今の2倍になるんだとか。
それであれば、牛を育てるという行程をすっ飛ばして、プリントしちゃおうというのがこのプロジェクトです。
製造工程の図がこちら。プラスチックの代わりに細胞を用い、それを少しずつ”プリント”していって、最終的にお肉の形になっていきます。

Photo from http://www.bbc.com/
もしかしたら将来は、“3Dハンバーガー”なんていうものがマックのメニューに載っているかもしれませんね。(笑)
家もダウンロードできちゃう?
最後は「家」。
基本的にはこの写真のように、泥と粘土を材料に、家を組み上げていくようです。

Photo from http://japanese.engadget.com/
え?「こんな小さな機械で家ができるまでには100年かかる」って?
そうなんです。だからこのWASPというイタリアのスタートアップはこんなものを作ってしまいました。

Photo from http://japanese.engadget.com/
これはBig Deltaという高さ12mの巨大な3Dプリンター。
この装置の組み上げ必要な時間はなんと2時間のみ。この巨大プリンターが家をプリントするというわけなんです。
材料に現地で供給可能な粘土だけを使い、今後プリンターの製造速度も改善すれば、低コストでかつ素早く家を作り上げることができるとのこと。
このプロジェクトが成功すれば、たとえば難民キャンプや被災地などでシェルターを必要とする人に、テントではなくしっかりと雨風を防ぐことができる家を短時間で提供することがでます。
このような建造物のプロジェクトは他にもさまざまあり、そのようなプロジェクトが今の貧困や災害の現場を変えてくれる日もそう遠くはないかもしれませんね。
[今日の一言]
最後まで読んでいただいてありがとうございました!昨日とは打って変わって晴天のトロント。この記事を書ていると、小さい部屋にいながら、大きな未来を想像できた1日でした。
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木村 拓哉
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